スペースを空ける
家の前の小さな花壇。
家を新築して外構を整えたときに、植木屋さんと相談して植えたもの。
予算が厳しくて(汗)、はじめから大きな木は植えられず、小さな苗木を買って植えてもらいました。
「すぐに大きくなりますよ!」
植木屋さんはそう言っていました。
土が合うのかエニシダはすごい速さで大きくなりました。
毎年きれいな花が咲いて、ちょっとした名物になっています。
## 通りすがりの人がよく写真を撮っていたりして。
一方で、トネリコはいつまでも小さな木のまんま。
エニシダの陰でひっそりと、でも枯れることなく生息してると言ったところです。
ところが去年の秋の台風で2本あったエニシダの1本が倒れてしまいました。
元に戻したけど、2週間ほどでそのエニシダは枯れてしまいました。
家を新築して、それから家族とともに成長してきたエニシダが倒れたことはとてもショックでした。
そして家の前が急に殺風景になった気がして、「春になったらもう1本木を植えよう」と家族と話してたのです。
そして春になりました。
すると今まで小さなままだったトネリコが急に成長して、エニシダと並び始めたのです。
トネリコは自分が成長するスペースが空くのをじっと待っていたのですね。
そしてエニシダが倒れたのを契機に自分を成長させたのでしょう。
花壇に新しい木はもう必要ありません。
プロジェクトチームも同じなのだと思います。
プロジェクトではおのずと役割がきまります。
だからベテランが多いプロジェクトでは、若手が新しく経験できることが減ってしまいがちですね。
成長のチャンスをうかがっている若手はたくさんいます。
大きなスペースを使っているベテランが退けば、彼らはいつでも成長することができるのです。
ベテランはある程度の道を作ったら、若手にスペースを譲ることが本当の役割だと思います。
そして自分の足で歩き始めた若手が本当に困ったときに、今度はその対処方法を見せるのもベテランの役割です。
ドラマ「不毛地帯」の最終回が先日放送されました。
苦労を重ねた石油開発で成功を収めた主人公の壱岐正。
綿花相場で巨額の損失を出した社長の大門とともに、会社を去ることでスペースを空けました。
まさにベテランによる仕事の始末だと思います。
マイナスとなる過程、それをプラスとする過程を示し、そのプラスの使い方は後継に任せる。
「きちんとしたスペース」を作って去ること・・・・仕事の美学として胸に刻もうと思いました。
プラスを使うことに躍起になっているベテランであってはなりません。
負の財産だけを残して逃げるベテランであってはなりません。
倒れたエニシダと民放ドラマの終わり方に生き方の手本を見つけた気がします。
ありがとう。